よくある質問

メッキと塗装のメリットとデメリットとは?

当社では「メッキ」と「塗装」、両方の技術を取り扱っております。
一見似ているように見えても「メッキ」と「塗装」はまったくの別の技術になります。

今回はこの二つの違いについてご紹介いたします。

「メッキ」と「塗装」の違い

「メッキ」・・・物質の表面を薄い金属被膜で覆うこと
「塗装」 ・・・物質の表面を薄い樹脂被膜(塗膜)で覆うこと

物質の表面に付着しているものが「金属」か「樹脂(プラスチック)」で異なります。

「メッキ」の目的は物の外観を美しく見せる装飾性の他にも、防食性や耐摩耗性、電気的特性、硬化特性、熱特性など、元々の物質が持っていない機能を付与することにあります。

この特長だけ聞くと、何に対しても「メッキ」の技術を用いれば良いのではないかと感じる方もおられるかもしれません。
しかし「メッキ」にも「塗装」にもそれぞれ一長一短があり、用途に応じて選ぶ必要があります。

メッキのメリット・デメリット

<メリット>
・様々な機能を付与することができる
前述の通り、様々な機能を素材に付与することができます。防錆・導電性・潤滑性など

・密着性に優れている
メッキを施す物質が金属であれば金属同士が密着し、強固な被膜が形成されます。メッキを施す物質が樹脂等である場合、一旦樹脂表面に導電膜を形成した後にメッキを行います。

・耐久性に優れている
メッキは、長期間素材を保護することが可能です。金属は塗料と比較すると強度が高く、密着性も相まって長く機能を保持できます。

・金属特有の質感や光沢を施せる
元々の物質が持っている見た目以上の価値を付与できます。
多様な色彩や光沢で、目で見て楽しむことができます。

・凹凸のある物質にも施せる
メッキはとても細かかったり複雑な形の物質にも施すことができます。
素材表面の原子レベルの凹凸に入り込んで密着するためです。
様々な形に対応できることで、用途が広がります。

・均一性の高い被膜の形成が可能
メッキはムラが生じにくく、均一性の高い皮膜処理が可能です。
均一性が高いことで、素材に付与した様々な機能を効果的に発揮することができます。


<デメリット>
・設備が大がかり、多額の費用や時間がかかる
メッキは加工工程が多く特殊な技術を用いることがあるため様々な設備が必要です。
その設備は簡単に持ち運びできるものではなく、工場内などで行うこととなります。
メッキしたい素材を運搬し加工に多くの工程を要することから、完成まである程度の時間を要します。
また、設備には多額の費用がかかります。

・メッキ加工が難しい場合がある
この金属の上には、あの金属のメッキが可能であるといったように、金属同士の相性によってどの金属でもメッキができるわけではありません。

・貼り直しが簡単にできない
メッキが剥がれた場合、その上から再度メッキをやり直すことはできません。
一度全てのメッキを剥がすなどして、再度メッキ加工を行わなければならないのです。



塗装のメリット・デメリット

<メリット>
・機能を付与できる
塗装はメッキと同様の機能を付与することもありますが、付与する機能はメッキとは異なることが多いです。
メッキができないものに対して塗装で機能を付与することが多いです。

・多彩な着色ができる
塗料は樹脂や顔料、硬化剤など、様々な成分が混合されています。その組み合わせは多種多様で、メッキでは表現できないような色彩にも加工できます。

・設備が持ち運べるため、現場での塗装が可能
塗装方法や塗装設備にもよりますが、現場に行って塗装することが可能です。
建築物など工場に持っていけないものにも塗装を施すことができます。

・容易に塗り直しができる
塗装方法や塗料にもよりますが、塗装済みのものに上から再度塗装ができます。
塗装が剥がれたりひび割れたりしても、その部分を塗り直すことで品質や機能を保持することができます。

<デメリット>
・耐久性・密着性に劣る
メッキが素材表面の原子レベルの凹凸に入り込んで密着するのに対し、塗装は表面に付着するだけなので密着性は弱いと一般的に言われています。こちらは、素材に適合した洗浄方法や密着向上処理を行うことで、耐久性の高い塗装に仕上げていきます。

・塗膜の均一性に劣る
電気の力でミクロン単位で制御できるメッキとは違い、液体を塗っていく塗装ではミクロン単位での制御はできません。

機械を用いて塗装を施したとしても、元々の物質の形によってどうしてもムラが生じてしまいます。

まとめ

似て非なる両者ですが、それぞれのメリット・デメリットを理解し、その時に合った加工方法を選択することが大切です。



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