会長の戯言 ブログ

生物多様性のお話 毎日海水を運ぶ貨物船 そして地球に何が起こったのか?

貨物船は積み荷を港に下ろすと そのままでは船体が軽くなって浮き上がるため 安全に航海できません。それでバランスを取るために港の海水を重しとして ある程度タンクに入れて船を安定させます。これを「バラスト水」と言います。バラスト水は目的の港に付くとそこに放水して捨てますが、元の港の海水中に生息していたプランクトンやバクテリアも そこに放出されます。日本の港で石油や石炭、鉄鉱石、食糧を降ろした船が 日本のバラスト水といっしょに 日本のプランクトンやヒトデなどの幼生、海藻類を中東など世界中に運んでいるわけです。バラスト水に含まれる生物種は7,000種類とも言われています。それらの生物の中でたまたまちょうど居心地のいい環境に捨てられた種が 縁もゆかりもない外国で 外来種として 異常繁殖して大変なことになる事があります。例えば 1988年にアメリカ5大湖でゼブラ貝が大量発生し、発電所や工場の取水口をふさいでしまい それを取り除くために毎年大変な費用をかけている。この貝はもともとカスピ海や黒海に住んでいたものが バラスト水により運ばれて来たらしいです。外来種と言うと ブラックバスやセイタカアワダチソウのように 私たちが被害を被っているものみたいな感じを受けますが それは違います。 日本の海藻のホンダワラがイギリスやフランスで、ワカメがオーストラリアで繁殖し 地元のカキなどの養殖に被害を与えているそうです。日本のヒトデがオーストラリアのホタテを食い荒らしているという 報告もあります。(これらは人間が被害を被った報告だけで 自然自体が受けた被害については 人間は興味がないので分かりません) 日本は1年間に1700万トンのバラスト水を輸入し、逆に3億トンを輸出しているのです。資源のない日本は バラスト水の輸出大国なのです。当然 これを規制しようと国際海事機構と言うところで 色々やっているわけですが 積んだ海水を捨てる時は 水道水並みの水質基準までもっていかなくてはならないので 当然お金がかかり なかなか進みません。昔のように石を積んで帰っていくわけには いかないのですかね。下ろした石はまた誰かが どこかに積んでいけばいいじゃないですか。昔の人は 水を重しにすると 海洋生態系に影響を与える事を 知っていたのかもしれません。

日本人と韓国人しか食べないワカメを オーストラリアに持って行ってもゴミにしかならないと言う お話でした。

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