会長の戯言 ブログ

オランダから塗装に関して質問を頂きました

先日、昨年のSilmoで知り合ったオランダの子供用めがねをデザインしている方から、なにやらまた質問メールが届きました。

 

出会ったとき、彼は、『私の憧れる、デンマークのO社やフランスのJ社の様な一流のめがねを世に送り出したい!』と言うので、それならばと憧れのO社とJ社と同じ製造ラインで、仕上げのめっきと塗装をしてあげましょうとなり、その時は彼の会社に溜まった不良品を再塗装する事になりました。

 

結果、大変喜ばれたのですが、やはり子供用ということもあり、中国製のめがねを日本にまで運んで塗装してオランダに運んでいては、コストがかかりすぎるとの理由で、断念されていました。

 

どうやら、メールの内容は『ワカヤマに頼んだのと同じように、中国の塗装工場に塗装を依頼したが、全く違う色が塗られてきて困っている』との事。はっきり言って、そんなもん知りませんと言いたい所ですが、展示会も近いしお困りのようでしたので少々アドバイス差し上げました。

 

問題の発端は、塗装の発注方法にあります。

 

多くのデザイナーさんは、Pantoneの印刷カラーを用いて、この色を塗ってほしいと注文を出します。 すごい方だと、銀メッキされたクリスマスボールをヨーロッパから送ってきて、このまぶしいピンク色がほしいというつわものもいらっしゃいます。

 

でも、はっきり言って、その注文に完全に応えることは不可能です。

 

と、言うのもPantoneの色は、あくまで白い紙にインクで着けた色です。その白い紙が、光沢紙だったら違う印象を与えるはずですし、しわがよっていれば、またそれから受ける印象も変わってきます。 そして、クリスマスボールの色は、下の銀メッキの色、つまりは鏡に塗られた透明なピンクの色なので、その色は鏡の上でしか再現は出来ないのです。

 

それでも、ワカヤマはあきらめません

 

なぜなら、デザイナーさんが欲しいのは、色そのものではなく、その色の与える印象である と理解しているからです。

 

ですから、眼鏡を塗った時に、デザイナーさんの送ってきた紙の色の与える印象に最も近い、しかもヨーロッパの方は文化の背景を踏まえて明るめの色を好みますから、そういった所にまで気を配りながら色を調合していきます。 もちろん、マット感が変われば色の印象も変わってきます。

 

中国の塗装屋さんは、多分送られてきた色見本そのとおりに塗ったのかも知れません。 でも、それではダメだということをわかっていなかったのでしょう。 

 

とりあえず、オランダの“以前”のお客様には、送られてきた色を基本に、もっと明るくしてほしいとか、青みが欲しいとか注文をして、もう一度塗ってもらうのがいいでしょう。とアドバイスしておきました。 Silmoまで後2日です。 もう、できたかなぁ? 間に合うといいですね


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